『シェイプ・オブ・ウォーター』って、美しいどころか超お下品だよね?
アカデミー賞最優秀作品賞に輝いてしまった『シェイプ・オブ・ウォーター』。
とんでもない快挙なのは間違いないけど、こんなオゲレツな作品が名誉ある賞(というか日本人的にはもっとも権威ある映画賞)を獲ってしまったことに驚きを隠せなかった。
さらに日本における作品の宣伝文句には「ロマンチック」「大人のラブファンタジー」なんてワードが飛び交い、挙句の果てには「モンスターとの純愛」などという、まるで『美女と野獣』みたいなノリ(完全に悪ノリ、というか大嘘)で紹介している媒体もあるではないか。
まあ、作品の観方も感想も人それぞれなので、誰がどんな捉え方をしようと勝手だが、俺が観た率直な感想は「オゲレツ」のひとことだった。
普段は映画なんか観ないような人が「アカデミー賞受賞したんだって~」なんて言いながら、1年に一回行くか行かないかの映画館に友人を誘って足を運んで、どデカいバケツみたいなのに入ったポップコーンをシェアしながらぼんやり観るにはあまりにも危険。
その人、今後10年は映画館に行かなくなるのではないか。
そもそもこれを「美しい」とか言う奴は欲求不満
監督であるギレルモ・デルトロさんの過去の作品を観たことがある人だったらわかると思いますが、この人はいつも気持ち悪い映画ばっかり撮っているよね。
よってスクリーンには、どう考えても「美しいモノ」など映っておりません。
欲求不満のコミュ障女
ハゲホモじいちゃん
黒人デブ女
サディストの豚男
半魚人
薄汚い研究所
ションベンの飛び散るトイレ
廃れた映画館の上にあるボロアパート
クソまずいパイを平気で客に出すカフェ
劇中にロクなモノが登場していないじゃん!
でもね、このロクでもない下劣な世界には「変態的なエロ」が充満している。
そこは認める。
欲求不満のコミュ障女を好む奴→変態
ハゲのホモジジイを好む奴→変態
黒人のデブ女を好む奴→変態
サディストの豚男を好む奴→変態
半魚人を好む奴→変態
薄汚い研究所を好む奴→変態
ションベンの飛び散るトイレを好む奴→変態
廃れた映画館の上にあるボロアパートを好む奴→変態
クソまずいパイを平気で客に出すカフェを好む奴→変態
ほら。
全部ことごとく変態が好む世界観じゃありませんか。
こんな見事な世界観があっていいのでしょうか。
つまりこの作品、誰が最初に「美しい」とか言い出したのかわからないけど、この映画を「美しい」と言ってしまう感覚って、自分が変態的なモノに心奪われたことを他人に知られたくないし、自分自身も認めたくないから、とりあえず「美しい」とか言っておくみたいな感覚なんじゃないかなって思う。
「美しい」という言葉の背後には、【いや、違うよ。私はね、このヴィジュアルの美的感覚っていうの? 水の中の幻想的なイメージとかアパートにある小物のセンスとかカメラワーク? あと姿カタチではなく心で繋がる種族を超えた一途な恋愛とか、そんなのを「美しい」と言っているのであって、決して変態的な設定のことではないよ】といったわけのわかんない言い訳が隠れているのだ。
しかし実際のところは、この作品の「変態」な部分に惹かれているのは間違いなく、つまりこの作品に本気で感情移入して感動した人間なんてのは、単なる慢性的な性的欲求不満。
誰とでもいいからセックスがしたい。
「イケメンであれば半魚人でもいい」「いいケツしていればブスでもいい」、同性愛者なら「ハゲたジジイでもいい」、マゾっ気のある女なら「サディストで指が腐っていてもいい」と、いろいろと妥協もするけどとにかく誰かとセックスがしたい!という気分に強く共感したのではないでしょうか。
そもそもこれはジャンルが良くわからない
作品の舞台は米ソ冷戦時代の1962年だが、ファンタジックなのはこの時代設定のみ。
政府の研究施設に実験台として連れてこられた半魚人さんと清掃員の孤独な(欲求不満)女性イライザさん(サリー・ホーキンス)が、心惹かれ合う物語が展開するわけだが、研究所のセキュリティがガバガバすぎて素晴らしい(そこがファンタジー)。
一介の清掃員が気軽にお弁当を持って半魚人の水槽に近づけてしまうのヤバくない?
完全にそのへんの動物園よりも気軽なので、そのアットホーム感もまさにファンタジーだなと心から感動した。
で、そんな微笑ましい環境で展開するわりに、セックスシーンに「ボカシ」が入ったりするから困る。
もう俺の個人的な認識としては、一般作品でありながら「ボカシ」が入った時点でそれは成人映画じゃないの?
「ファンタジー」とか「ラブロマンス」とか「ホラー」とかを超越して、もはやそれは「成人映画」。
つまり「ポルノ」である。
そう考えると、先ほどの「この映画を絶賛するやつ欲求不満説」が成立してしまう。
だってポルノ映画なんだもん。
観る奴は欲求不満しかいないわけで、完全に利害関係が一致するではあーりませんか。
よかった。腑に落ちた。
まとめ
『シェイプ・オブ・ウォーター』はポルノ映画なので、デートとかで観に行ったらぜったいにダメ!
誰も知らない『アウトレイジ』シリーズの世界
「てめえナメてんのかコノヤロー!」
「てめぇらガタガタうるせぇんだよバカ野郎!」
こんな知的なやり取りが2時間ずっとつづく、まさにエレガントなひとときを満喫できる上流階級の映画体験。
このシリーズが傑作であることは言うまでもないですけど、やっぱ「傑作!」と言わずにはいられないほど超傑作なので言わせてください。
超傑作です!
ヤクザ映画ではなく、ヤクザファンタジー
昔、某シネコンで働いているとき、なにかの罰ゲームか知らないですが『首領への道』というヤクザ映画を上映したことがありました。
で、もう来る客がみんなそっち関係の人ばっかりで生きた心地がしなかったのを思い出します。
劇場内で平気でタバコ吸っちゃったりする。
もちろん俺たち劇場側は、毅然とした態度でそんなの見て見ぬフリするわけですが。
何が言いたいのかというと、この『首領への道』も『アウトレイジ』そうだけど、ヤクザ映画の魅力って、アクションやバイオレンス演出だけじゃなくて、「ヤクザ」という特殊な世界の様々なシキタリや儀式などの世界観とか様式美とかにあるわけです。
で、その中でも 『アウトレイジ』シリーズは本当に世界観がファンタジック。
とにかく一般人がひとりも出てこない。
ヤクザだけが住む「ヤクザ世界」で、ヤクザ同士がモメまくって、みんな揃って「てめえナメてんのかコノヤロー!」ってスゴんでいるだけの映画。
『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリー・ポッター』と一緒です。
キャラクターがヤクザなだけ。
そんな架空のキャラのみなさんが、始終本気で殺し合いをしています。
もう卑怯もひったくれもない感じで、闇討ちとか暗殺とか騙し合いの連続。
正々堂々なんて意識が皆無な、まさに純粋な「悪」な人たちばっかりで感情移入が一切できません。
つまり俺たちよりもずっと純粋な人たちなんです。
「普段やさしいけどキレると怖い」なんて人はひとりもいない。
ずっと怖いし、ぶっとばし合ってるという。
もちろんそんな奴は、ハタ迷惑極まりないんだけど、見ていてとってもスカっとするのも事実なんですよね。
シリーズを重ねるごとにメルヘン度がエスカレート
『アウトレイジ』は3部作ですが、シリーズを重ねるごとにファンタジーっぷりがアップしています。
まず、1作目のラストで死んだはずのビートたけし演じる「大友」が、2作目『アウトレイジ ビヨンド』で生き返っています。
ほら。もういきなりメルヘンじゃん。
で、3作目の『アウトレイジ 最終章』では、韓国の大物フィクサー役を、ビートたけしの友人のただの一般人が演じてたりしてこれまたファンタジー。
シリーズ通して、凄惨な殺し合いをしつつも、ところどころでユニークなズッコケが入ったり、殺伐とした中にもホノボノとしたワンシーンがあったりと、とにかく演出がどこか異世界の出来事のような雰囲気を醸し出しているところも注目。
死人は前作の倍、緊張感は前作の倍、出演者の顔の面白さも前作の倍、飛び交う怒号は前作の1億倍と、何もかもがバイバイゲームでエスカレートしていく極上のエンタテインメント。
ヤクザ映画が好きじゃないという人でも、ぜったいに楽しめるエンターテインメントになっていますので、みなさんもぜひ、ヤクザ同士の罵り合いから生み出されるグルーヴに身をゆだねてみてくださいね。
ではでは。
【自己紹介】ブログ管理人の2017年度映画ベストテン
はじめまして。
映画ライターのデヴォン山岡です。
このブログでは、個人的に楽しんだ映画の感想文をどんどん書いていこうと思っております。
とにかくジャンル問わず、年代を問わず、意味不明なタイミングで、俺がそのとき紹介したい作品の感想文を、なんの必然性も無く書いていくというコンセプトとなっておりますので、お付き合いいただける方はぜひとも読者になってください!
さて、最初の記事と言えばやはりプロフィールの紹介ですよね。
しかしながら、ここで生年月日やら、趣味やら、好きな食べ物やら、性癖やら、黒歴史やらを紹介したところで、そんなもので人間の本質など到底わからない。
その人間の人間性を手っ取り早く知るのであれば、やはり「好きな映画」を確認するのがいちばんではないでしょうか。
ってことで、ここではわたくしデヴォン山岡の2017年度版の映画ベストテンを発表させていただき、それを自己紹介とさせていただきたく思います。
以下のランキングを見れば「あー、コイツってこんな奴なんだ」ってのが一目瞭然!
「読者になる」ボタンも気兼ねなく押せるってもんですよ、はい。
2017年映画ベストテン
1位『エイリアン:コヴェナント』
これを観るために生きていると言ってもいいぐらいに、リドリー・スコットの描くエイリアンの世界が好きです。
みんながスターウォーズに熱狂するのと同じように、俺はエイリアンに熱狂しているんです。
これを面白くないという人の大半はどうせ『プロメテウス』も観ていない。
『プロメテウス』を見ていない人の大半はどうせ『エイリアン』に興味がない。
結論として『エイリアン:コヴェナント』を楽しめなかった人たちは、一生エイリアン映画を観るべきではない。
リドリー・スコット監督は作品を通してこうメッセージを送っています。
俺のエイリアンを観たいか? と。
観たい。
と思ったファンがあまりにも少なかったので、続編のプロジェクトが停滞しているそうです(泣)
つまり、俺以外は誰もリドリー・スコットの世界についていけていないのか。。。
2位『散歩する侵略者』
侵略モノのSF映画ですが、根底にあるのはコミュニケーションの物語でした。
黒沢清監督作品の定番である、他者との対話。
素性も考え方も生きる目的も価値観も、何もかもが違う相手とどうコミュニケーションをとるか?
いつもならば、わかりあえない同士は所詮わかりあえませんといった虚しい話で終わるが、今回は何か違います。
お互いにわかり合おうとする意思が見えるんですよね。
その先に、残酷な結果が待っているとしても「わかり合おうとする」ところに感動を覚えずにはいられない。
黒沢清、なかなか優しくなったなと感じました。
3位『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』
この作品、トム・クルーズが主演でなければ観もしなかったと思います。
それほどまでに、すべてトムの魅力で持っているような作品。
トムがミイラを復活させて、トムが自分で解決するという究極の自作自演乙展開。
ここで「トムだからしょーがねーかwww」と思えるかどうかで評価が真っ二つに分かれる。
俺なんかはもうトムであればなんでもいいので、どんだけムチャクチャな展開だろうがそんなものは関係ない。
トムが世界を巻き添えにして暴れている。
そこに恥も外聞も無く感動してしまうんです。
4位『ブレードランナー2049』
35年ぶりの続編という、まったく意味がわからない企画です。
『ブレードランナー』が好きな人なんかそのほとんどが老人だし、俺だって特に思い入れがある作品でもありませんでした。
にもかかわらず、誰もが納得する、これしかあり得ないと思える出来の続編としてまとめたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の手腕というか、そのバランス感覚を素直に素晴らしいと感じました。
世界観をしっかりと引き継ぎつつも、新しい物語を創り上げ、さらにオリジナル作品との関係性を取り込んで展開させるなんて、マジでこの監督にしかできない芸当ではないでしょうか。
さらに、女AIがエロすぎるところも最高でした。
5位『ネオン・デーモン』
エレガントでありながら圧倒的ドスケベ感を醸し出すクリフ・マルチネスのエレクトロミュージックに乗せて、キラキラした衣装に身を包んだうら若き少女が暗黒面に堕ちていく過程は強烈なインパクト。
あまりにも刺激が強すぎて、美しいのか気持ち悪いのか判断がつかなくなるという意味では、「美」と「醜悪」は紙一重であるというメッセージにも思えました。
6位『ラ・ラ・ランド』
「映画」を超えて、「ミュージカル」を超える。
ジャンルを飛び越えた独自のエンターテインメントを創り上げた作品で、鑑賞後には感動どころか「絶望」してしまうほどの完成度でした。
モノづくりをしている人で、この作品を観てヘラヘラ「面白かった」とか言っているノンキな奴はもうモノづくりなんかやめたほうがいいですね。
こんな凄いモノを見せられて、嫉妬と絶望を感じないならクリエイティブなんかやめちまえと。
7位『トリプルX:再起動』
始終なにをやっているのかわからなかったんですが、面白いモノ、ハチャメチャなモノを見せたいというサービス精神だけは泣けるほど伝わる作品でした(笑)
俺が水野晴郎だったら、間違いなく上映週後に「いや~、映画ってほんっとにいいものですね」と口走っていたはず。
常に進化しつづけるアクション映画というジャンルを語る上で、これを観ていないと乗り遅れる感が凄かった。
8位『マリアンヌ』
この作品の抜け目のない画作りというか、迫力のある構図というか、とにかくすべてのシーンがあまりにもド派手。
作品の内容自体はスパイ同士のラブストーリーと地味なのに、なぜこれほどまでにヴィジュアルで魅せられるのか?
映像を極めたロバート・ゼメキス監督だからこそ到達した、細部までこだわりぬいて作られたヴィジュアルインパクトに度肝を抜かれました。
9位『アトミック・ブロンド』
すべてが閲覧注意とも言える衝撃シーンの連続。
スタイリッシュなアクション映画かと思ったら、泥臭い暴力とバカバカしい裏切り、行き当たりばったりな殺し合いが繰り返され、クライマックスはただの地獄。
そんな殺伐とした世界観でも、シャーリーズ・セロン嬢は優雅さを保っているから凄いです。ボッコボコに殴られてヘロヘロになっても、セロン嬢は美しすぎるの、ほんとさすがです。
10位『ゲット・アウト』
人間の欲望の限界の無さを描いた作品ということで、今年いちばん恐ろしかったです。
展開は先読み不可能。
なのに、何か不吉なことが迫っていることは容易に感じ取ることはできる。
「怖いことが起きるけど、それが何かわからない」という不安感をあおりまくる演出が見事でした。
以上、管理人の2017年ベストテンでした。
共感していただけた方、もしいらしたらぜひぜひ他の記事も読んでいただければ幸いです!
今後ともどうぞよろしくお願い致します!