戦争に翻弄される一般市民のみなさんが必死で日々を生き抜く姿を描いた映画。 などと言われると俺なんかは「そんな悲惨なものを好き好んで観たくはない」という気持ちにならざるを得ないというか、特に原子爆弾投下前後のヒロシマ周辺のカオスを描いていると…
オーバールックホテルの不気味な廊下を三輪車で縦横無尽に漕ぎ進んでいた可愛いダニーくんも、見事にやさぐれた大人に変貌。 髭モジャのオビ・ワン・ケノービ然としたアル中男と化しているところは、父親であるジャック・トランスの血統を感じさせるショッキ…
人気コミックの実写映画化に成功例など皆無だ。 まったくもって我が国は、なぜダメだとわかっていながらもマンガ実写化映画を作ってしまうのだろうか。 『進撃の巨人』実写化! 『キングダム』実写化! 『鋼の錬金術師』実写化! 断っておくがこれらはすべて…
アクセスして名前を入力するだけで、その人間を地獄に送るインターネットサイト【地獄通信】。 そんな、何のヒネリもないそのまんまな名称のサイトの管理人の名は、これまた「閻魔あい」というそのまんまな名前の少女であった。 いや別に無理にヒネった名前…
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は、スティーブン・キング原作小説の映画化作品『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017)の続編であることは言うまでもないが、タイトルがとにかくややこしい。 1作目『IT/イット “それ”が見え…
ビートルズのいない世界。 そんな悲しくも味気ない世界がもしあったとしたら、音楽は、カルチャーは、人類はどんな未来を歩んでいたんだろう。 ビートルズが存在しないということは、当然のように音楽界にビートルズの影響が無いということになるので、ポッ…
働けども働けども困窮した生活から抜け出せない貧しいみなさん、社会との隔たりを感じ孤独感と絶望感にさいなまれているみなさん、自分よりも不幸な人たちには優しくしてあげたいけど幸福な奴らは全員死ねとか思っているみなさん。 そんな底辺な人々が「俺た…
人間には “狂暴な肉食獣に捕食されてみたい” という密かな欲求がある。 サメ、ワニ、ライオン、グリズリー、アナコンダ、怪獣、自らを頂点捕食者と勘違いした人間たちを、いともあっさりと食いちぎってゴックンしてしまう食物連鎖のトップを突っ走るみなさん…
こういった宇宙モノSFに漂う孤独と絶望が大好物なので、制作サイドが“宇宙で『地獄の黙示録』がやりたかった”感満載のミーハー大作『アド・アストラ』は絶対に映画館の暗闇で体験したかった。 宇宙で人間が絶望する映画と言えば、過去に『2001年宇宙の旅』『…
ワンちゃんを殺された最強の殺し屋のクレイジーな大冒険を描いた『ジョン・ウィック』シリーズ3作目は、ストーリーがムチャクチャすぎて全く理解できないが、そんなものは関係ないほどに面白い出来事がたくさん起こるのでもうそれでいいんだと思う。 とにか…
おそらくタランティーノって世界でいちばん自由に映画を撮っている人なんだと思う。 子供時代とか、ビデオ店でバイトしてた時代とかに感銘を受けたくだらない映画に執着して、映画監督としてそんなのがごった煮状態になった作品(いわゆる自分の中にある原風…
昔はヤンキー物のジャンルって大好きだったけど、オッサンになったら別に興味がなくなっちゃったのは、もうヤンキーに感情移入できないどころか、自分がオヤジ狩りに合う危険性のほうが現実的になったからであろうか。 そんな俺が、このたび話題のヤンキーバ…
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の悲劇、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の感動を経てのコレ。 アベンジャーズの見る影もなく完全な学園コメディと化した『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は、これまたエンドゲームの哀しみなんかす…
有名なマンガ原作だということをまったく知らずに鑑賞したが、監督が監督なのでまあ「お察し」というか、ただの青春映画ではないことは予想していた。 しかしながら、煽り文句に“超〈変態〉狂騒劇”などと書かれると俺としては不安しか感じない。 「変態」を…
あまりにも素晴らしかったので鑑賞後のテンション、かつ映画のノリそのものを自らの心に憑依させて書かせてもらう。 とにかく最高だ! 最高すぎて悶絶のあまり鑑賞中に何度イスからずり落ちそうになったかわからない。 完全無欠の地獄バトルエンターテインメ…
「自分そっくりの容姿をしたもうひとりの邪悪な自分に襲われる」というシチュエーションはホラー映画によくある題材だが、この映画はなんと自分だけでなく、自分の家族そっくりの「わたしたち」に襲われるというブッ飛んだ展開がヤバイ。 邪悪な自分ひとりく…
音楽好きならば、所持しているCDをすべてブックオフに売っぱらってでも観なきゃいけない映画『ロケットマン』は、エルトン・ジョンのド壮絶な半生を描いた、愛と呪いの超絶ミュージカルである。 そう、とにかくこの作品は「呪い」に満ちている。 あの類まれ…
『ワイルド・スピード』シリーズを観るといつも「映画ってこんなに自由でいいんだなあ」って思う。 常識とか、リアリズムとか、整合性とか、共感とか、細かい理屈とか、そんなものは映画に必要ないんだなと。 ドデカいスクリーンの中に、ド派手でド迫力でド…
子どもたちに人気の可愛らしい「グッドガイ人形」にサイコキラー“チャッキー”の魂が乗り移って、前代未聞のお人形さんによる連続殺人が勃発。 というポップかつファンタジーな設定が話題を呼んだ名作ホラー『チャイルド・プレイ』は、我が国で言うとプリキュ…
「く~る、きっとくる~」 なんていう曲が主題歌のジャパニーズホラーの大傑作『リング』(1998年)で、すでにこの作品の出現を予言していた感満載であるが、それもあながち冗談というわけでもないのが、この作品の原作『ぼぎわんが、来る』は『リング』同様…
俺はいま、聴くだけでド派手に呪われそうな初代『サスペリア』(1977年)のテーマ曲を流しながらこの感想文を書いている。 音楽を担当したイタリアのバンド「ゴブリン」の代表曲のひとつであり、ホラー映画BGMの中でも『エクソシスト』のテーマ「チューブラ…
「ヘレディタリー」というワードには、「遺伝」とか「親譲りの」といった意味があるそうで、つまりこの映画は「何か」を親から継承する映画です。 なんかもうこれだけですでに怖いというか、親から引き継がれる厄介事なんてのはもう子どもにとってはホラーで…
人間は、音をいっさい立てずに生きることができるんでしょうか? 改めてそんなことを考えると、結論としては「無理!」ってなりますよね。 だって俺はいまこのテキストを打ち込んでいるだけで、すでにさまざまな音をまき散らしております。 パソコンのキーボ…
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC 2001年に公開して大ヒットしたクライムサスペンス映画『オーシャンズ11』をご存知でしょうか? ジョージ・クルーニー、ブラッド・…
依頼されるミッションは、いつも成功率0%のインポッシブルかつ常識ハズレなものばかりなのに、いつも運の良さだけで任務を遂行してしまうことでお馴染みイーサン・ハントさん。 危機また危機の連続に見舞われるのに、なぜかギリギリ死なない。 まったくもっ…
(C)2018「パパはわるものチャンピオン」製作委員会 「プロレス」を題材とした映画は数多くあれど、この作品ほど本気のプロレスシーンが描かれた作品は今までなかったんじゃないでしょうか。 なんせ、演じているのはモノホンでガチの現役プロレスラーですから…
男尊女卑思考のカタマリであり、口を開けば女性蔑視発言ばかりの実写版「男性至上主義のブタ」であるこの俺も、思わず自分のカミサンに日頃の感謝を表明して、ダイヤモンドのひとつでもプレゼントしたくなるような映画を観ました。 その名も『バトル・オブ・…
最高に爽やかな気分になれる映画を観たので感想を書かずにいられない。 というか、この作品のことを考えるだけで、自然と涙が溢れてしまうというか、もうね、すっごい泣けるんですこの映画。 爽やかさがギネス級、切なさがギネス級、そして何より、鑑賞後の…
「いやー、ウサギさんって、ほんっとにカワイイものですね。それではまた、来週の金曜ロードショーでお会いしましょう」 これは、映画評論家の水野晴郎さんが生前残した最後の言葉です。 つまり水野さんは、人類にこう言い残したかった。 『ピーターラビット…
冴えない地元なんか出て、早く都会で文化的な生活をしたい! 都会への進学を夢見る少女レディ・バードの、破天荒で切ない高校最後の1年を描いた青春映画の最高峰。 切ない恋、背伸びした友人関係、うんざりする母親の小言と退屈な日常、そんな儚くて危うい青…