ローデッド式デヴォンクラッチ

映画ファン最後の良心デヴォン山岡が映画を楽しみまくって感想を書きます。

すべてのホラー映画の集大成にして頂点! 『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』

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IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は、スティーブン・キング原作小説の映画化作品『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017)の続編であることは言うまでもないが、タイトルがとにかくややこしい。

 

1作目IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

 

2作目IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』

 

タイトルの真ん中に「THE END」が入っているかどうかがその判断基準になることは、こうしてタイトルを並べてみれば一目瞭然だが、ただでさえクソ長いタイトルが余計長くなったわりに、ぜんぜん見栄えが変わっていないしパッと見で判別しずらい。

1作目の原題『IT』が、邦題『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』というハッタリ感満載のダサすぎるタイトルになったのは100万歩譲って理解&納得しよう。

そのおかげで、この映画が多くの人に認知されたのは間違いないし、タイトルのインパクトだけで「なんか怖そう」とアピールする上ではとても有効な手段だったのも認める。

とはいえ、味をしめたからといって2作目にまで「“それ”が見えたら、終わり」をつける意味はあったのだろうか?

1作目を観た人間にとっては「“それ”が見えたら、終わり」などというサブタイトル(というか寒タイトル)が、作品の世界観とまるで異なる、観客動員だけを狙った無粋な宣伝コピーであることは周知の事実。

しかし偉大なる広告代理店様は、そんなことはおかまいなしとばかりに、恥ずかしげもなくこの文言を「ヒット最大の要因」とばかりに観客に押し付けてくるのである。

原作者のスティーブン・キングがこの状況を知ったらどう思うのだろうか?

 

別にいいんじゃない? それでヒットするなら。

 

と、キング御大なら普通に言いそうではあるが。

 

 

 

子供の友情、大人の孤独

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原題『IT:chapter two』

どうだ、このシンプルでありながらも忌まわしさが漂うハイセンスなタイトルは。

1作目で、モンスター界のジョーカー(そのまんま)こと「IT」a.k.a ペニーワイズは、「ルーザーズクラブ」の少年少女たちによる勇気と知恵によって完膚なきまでに叩きのめされた。

しかし、その物語には“続き”があり、「恐怖はまだ終わっていない」という無慈悲なタイトル。

チャプター2は、ルーザーズクラブの面々がそれぞれの道を歩んで大人になった27年後から始まる。

27年というのは、呪われた町「デリー」で、ペニーワイズが子供たちを殺しまくる周期である。

1作目における子供時代のペニーワイズ戦は、恋あり、友情あり、そして絶対者なる親の支配から逃れるまでの成長物語でもあった。

しかし2作目のペニーワイズ戦は、すでに大人になった彼らが、社会との繋がりの中で自分自身と闘う物語となっている。

大人の彼らは、なぜか全員が孤独な境遇に置かれており、しかもペニーワイズとの壮絶な攻防戦をすっかりと忘れている。

さらに、あのとき友情を誓った運命の7人が全員揃うのかと思えば、ある理由によって1人だけ現れない。

このへんの容赦のない展開が『IT』の恐ろしさなのだ。

もはや1作目に漂っていたファンタジーの要素はゼロ。故郷に戻ったルーザーズクラブには嫌なことしか起きないのであった。

ルーザーズの面々は、過去のトラウマと改めて対峙し、思い出した絶望と恐怖にどう立ち向かうのか?

子供時代は「友情」が勝利を握る鍵であったが、今回はまず「孤独」という壁が大きくぶち当たるのが大人編のリアルだ。

ペニーワイズが狙う生贄は、いつも「孤独な者」であった。

虐げられた者、取り残された者、愛されない者、強いコンプレックスを持つ者。

だからこそ団結したルーザーズにペニーワイズは手も足も出なかった。

しかし今回、ルーザーズが再会を果たしたからといって、27年間孤独に慣れた大人たちが簡単に団結などできない。ペニーワイズは巧妙にそこをついてくるのだ。

この作品が単なるホラー映画じゃないところは、まさにその人間ドラマとしての奥深さにある。

ルーザーズたちは、子供時代を思い出しながら自分自身の孤独の原因を見出し、大人として解決を試みる。

血と暴力の圧倒的なホラー表現を織り交ぜながら、登場人物たちの自己との闘いを見事に描いており、スティーブン・キングのあのクソ長い小説をよくもまあこれほど巧くまとめたものだと感心する。

 

 

 

ホラーのすべてが詰まった集大成

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原作の『IT』は、スティーブン・キング本人が敬愛するホラー作品のモンスターが大勢登場する小説である。

読んだことのない人に説明すると、ペニーワイズは対象者の恐怖を具現化するので、ジョーズやミイラ男、フランケンシュタインなど、子供が見たり聞いたり読んだりした架空のモンスターたちが恐怖の対象として出てくるのだ。

キングは『IT』のことを、あるインタビューでこう語った。

 

「子供のころの恐怖が、大人になって急に湧き上がることがある。それを表現したのがこの小説だ。これは、ホラーのなにもかもを詰め込んだエピック・ホラー・ムービーなんだ」

 

このインタビューは1985年に、キングが『IT』発表前に次回作の告知として話した内容である。

すでにこの時点で、キングは『IT』に対して「エピック・ホラー・ムービーになる」と堂々たる予言をしていることに驚く。

ホラー世界においてキングの言葉は常に絶対なのだ。

 

今回『イット/THE END』において、このモンスター総動員の表現は過去のさまざまなホラー映画の恐怖シーンを集めることで実現した。

ホラー映画好きだったら悶絶してしまうような、あらゆる名作ホラーの名シーンがドカドカ登場するのである。

キングは『IT』を、自身にとっての “最終試験のような作品だ” と言ったが、この映画は俺たちホラーファンにとっての“最終試験”になるかもしれない、まさに完全なるエピック・ホラー・ムービーとなっているのだ。

 

 

まとめ

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とにかく完璧。

完璧という言葉しか出てこないほど、すべてが詰まった究極のホラー映画だ。

内容はもちろんだが、キャストにも触れておこう。

大人になったルーザーズは豪華メンバーだらけである。

ジェームズ・マカヴォイジェシカ・チャステイン(エロい)、ビル・ヘイダー、デブだったベン君なんかマッチョなイケメンになっていて驚きの成長っぷり。

さらに、原作者である「神」ことスティーブン・キング御大も非常にユニークな役柄で出演しているのでそのへんも要チェックである。

ペニー・ワイズ役のビル・スカルスガルドの激キモ演技は言うまでもないであろう。

 

上映時間はまさかの169分。

 

169分!

 

びっくりした。

3時間近くもあったとは。しかし面白すぎて体感時間は1時間半くらいなので大丈夫。

マジで。中だるみ無しで全編フルスロットルで面白いので、事前にオシッコとウンコをしっかりと済ませて恐怖の長旅を楽しんどくれ。

 

ちなみに点数はもちろんこうなる。

 

100点満点。

 

 

 

【注】情緒もクソもない日本語吹き替え版予告