殺し屋冒険ファンタジー『ジョン・ウィック:パラベラム』はシリーズ最高のキチガイ指数を更新!
ワンちゃんを殺された最強の殺し屋のクレイジーな大冒険を描いた『ジョン・ウィック』シリーズ3作目は、ストーリーがムチャクチャすぎて全く理解できないが、そんなものは関係ないほどに面白い出来事がたくさん起こるのでもうそれでいいんだと思う。
とにかく物語は大筋で「なんとなくこんな感じ」といった程度になっていて、あとはジョン・ウィックさんが街に異常にたくさんいる殺し屋たちに襲われるだけ。
もはやこの世界には殺し屋しかいないのだろうか? と思わんばかりにそこら中に殺し屋さんたちが営みをしていて、当然のように「寿司屋」とか「ルンペン」とか「警察官」とか、仮の仕事をしてはいるけど、ここまで競合が多いともう殺し屋としてやってくのが大変だから副業して他の仕事やってんのかもしれない。いや副業で「ルンペン」はねーだろさすがに。
たしかジョン・ウィックさんは、1作目で愛犬を殺されて愛車を盗まれて、結構ひどい目に合ったからしょうがなく復讐に乗り出したはずだったが、2作目ではもうどう考えても「自分から過酷な環境に身を置こうとしているとしか思えない」ような自虐的判断ばかりして、引退とか平穏とかいったいどの口が言ってんだよ状態でもう笑うしかない。
ジョン・ウィック、何がしたいんだ!
そんな単純かつ素朴な疑問を打ち砕くシリーズ3作目「パラベラム」、その意味はラテン語のことわざ【平和を望むなら闘いに備えよ】ということで、結局ジョン・ウィックお前はやっぱりなんだかんだで安らぎを求めていたんだね、だからこそ再び殺し合いに身を投じたのか。ふむ。納得(無理矢理に)
平和、平和、平和、、、などとつぶやきながらも次々と刺客を残虐にブチ殺すジョン・ウィック。
「悲しいけどこれ戦争なのよね」
スレッガー中尉さながらの悟りをその髭面にたたえつつ、殺し屋業界を追放されてひとり敵だらけの街をさまようのであった。
シリーズ最大の死人数を更新!
ジョン・ウィック最新作は、本作一本で『13日の金曜日』シリーズ全作品におけるジェイソンの殺人数をブチ超えたのではないかと思うほどの殺戮大合戦となっている。
業界を追放されたジョン・ウィックにはとんでもない賞金がかけられ、一攫千金を狙う大勢の殺し屋に命を狙われることになるのだが、そんな奴らがことごとく返り討ちにされるので死体の山は必至。
しかも最強&不死身なジョン・ウィックは、どんな状況だろうが周囲に転がっているモノを利用して人を殺害できるので、もはや拳銃なんか使わずに行き当たりばったりで敵を殺すのだ。
つまり、殺傷能力が低めの方法で強引にトドメを刺されるので、そりゃあもう悲惨な死に方をする人が続出。
殺されるのは「悪い殺し屋さん」たちなので、まあ因果応報だし、それはそれでスカっとしてしまうから本当に困る。
さらに今回ジョン・ウィックは、犬や馬や美女(まさかのハル・ベリー)などの生き物をも巧みに使って戦うので、そのへんの殺戮チームワークなんかも見どころだ。
業界全体を敵に回したジョン・ウィックが、彼を支援する人たちも巻き込んで、行く先々で展開する楽しすぎる大虐殺(推定死者数5億人)を堪能できるぞ。
ストーリーが意味わからない
ジョン・ウィックの世界観はかなり独特である。
まず殺し屋、多すぎ。
犬、賢すぎ。
ホテル、一般人いなすぎ。
警察、仕事しなすぎ。
業務機材、アナログすぎ。
まさにファンタジーのような世界で、そこに課せられた現実離れしたルールに基づいた物語が展開する。
裏社会の支配者、殺し屋の掟、血の誓印。
劇中に突如出てくるこの世界の社会システムを、われわれ観客は初耳なので「なるほど、そんなものなのか」という気持ちで受け入れながら鑑賞するわけだが、当然すべて「なんとなく」しか理解できない。
よって、たまに「ジョン・ウィック、何やってんだろ」という気持ちがアタマをもたげてくるのである。
しかし、そういった疑問が心の奥底に引っ掛かりつつも、面白すぎるアクション&バイオレンスが深く考えることを拒絶する。
そもそもジョン・ウィックという人の行動そのものも意図がまったく見えてこない事が多い。
殺し屋を辞めたいのに、わざわざ刺客を送り込まれるようなことばかりして、毎度わざわざ窮地に陥ってみたりするジョン・ウィック。
街中に同業者がたくさんいることを知りつつも、わざわざ賞金首になるようなことを選択するジョン・ウィック。
わざわざ殺し屋たちのターゲットになったくせに、襲われると困り顔、もしくはうんざり顔で対応に追われるジョン・ウィック。
ジョン・ウィックのピンチはすべて「わざわざやってる」と思わせるピンチばかりでまーったく理解できないのである。
“ピンチ依存症”
生きるか死ぬかの世界において、そんなアホな依存症があっていいのだろうか?
いいのである。
だってジョン・ウィックなんだもん。
つまりこの映画、現実離れしてブッ飛んだすべての展開が“ピンチ依存症”で説明できてしまうので驚き。
バカが喜ぶキャスティング
なんてったってキャストが凄い。
ライバル関係となる組織の凄腕殺し屋はなんとマーク・ダカスコス扮する日本人の忍び。
そんな実写版クライングフリーマンの部下として登場するのが、シラット使いのお馴染みすぎる2人組である。
もはやハリウッドのアクションクリエイターたちにとって『ザ・レイド』は聖典なのだろうか。
特にヤヤン・ルヒヤンはどんな映画でもまったく同じ役柄で現れるのでマジ恐ろしすぎる。
ほかにも、『マトリックス』の続編のウワサが囁かれる中でのモーフィアスとの共演(これまた似たような絵ズラ)があり、年を重ねるごとにセクシーに磨きがかかるハル・ベリー嬢も参戦しムチャクチャ殺しまくる。
そんなクセのある出演者たちに囲まれてご満悦の主演キアヌ・リーブス。
映画好きにたまらないマニアックなキャスティングがこの作品の大きな魅力なのである。
まとめ
全世界を敵に回したジョン・ウィックの運命がいかに?
いやいや、みんな知っていると思うけど、全世界の殺し屋が全員勢ぞろいしてもジョン・ウィックには勝てない。
俺たちは、このシリーズでジョン・ウィックの神話を目撃する、歴史の証人なのだ。
当然4作目も5作目も作られるだろうから、寅さんのように毎年作ってご長寿シリーズになって欲しいジョン・ウィック。
『マトリックス』なんかいいから、ずっとコレやっててくれキアヌ。