シリーズ未見だってのに『HiGH&LOW THE WORST』が悶絶するほど面白かった件
昔はヤンキー物のジャンルって大好きだったけど、オッサンになったら別に興味がなくなっちゃったのは、もうヤンキーに感情移入できないどころか、自分がオヤジ狩りに合う危険性のほうが現実的になったからであろうか。
そんな俺が、このたび話題のヤンキーバトル映画『HiGH&LOW THE WORST』との奇跡的な邂逅を果たしたのである。
ついに、ウワサだけは耳にしてきたが、ずっと避けて通って来たハイローシリーズと正面切って対峙するときが来た。
つまり俺とハイローとのタイマン勝負である。
ちなみに、俺が今までハイロ―とのタイマンを避けて来たのは、この映画が単なるEXILEグループのプロモーション映画だと思い込んでいたからに他ならない。
ススキノのニューハーフたちが「抱かれたい男」のビジュアルとして挙げる率ナンバーワンのEXILE的風貌の連中が、カッコつけながら申し訳程度のヤンキードラマを繰り広げる映画なんでしょ、どうせ。
なんてことを勝手なイメージで思ってしまって本当に申し訳ございませんでした!
ハイロー、ムチャクチャ面白かったです!
ここ最近の邦画アクションの中では最高峰クオリティのハイテンション・バトルムービーで、さすがの俺も1ラウンド秒殺KO!
すげえ。マジですげえよこの映画。
圧巻のケンカ大乱闘シーンは『プライベート・ライアン』におけるノルマンディ上陸作戦もビックリの超絶臨場感。
100人くらいが一斉にバトルしていて、それを縦横無尽なカメラがぐりぐり動きながらナメ回すんだけど、もう全員が全力投球でケンカをしている。
スクリーンの端っこにいるヤンキーも死にもの狂いで敵を痛めつけているし、ドローンによる上空からのショットでは、ずっと後ろの方までボロボロになってケンカしているヤンキーたちの姿が確認できて、もう絵に描いたカオスになっている。
すべてのケンカに演出指導が入っているのだろうか? それともアドリブでマジバトルしてるのか? よくわからんがとにかく凄いショッキングヴィジュアルだ。
邦画のアクションでこんな迫力満点なバトルをはじめて観た。
これがハイロー・・・、いや、これが、若さか・・・。
ハイロー、ストーリー完璧すぎ
この映画は、主人公のケンカ大好き少年、花岡楓士雄が地元の凶悪高校「鬼邪高」に転校してくるところから物語が始まる。
ヤンキーものってのは、いつの時代も「転校生」が風を起こすところから始まるのだ。
この「鬼邪高」なる高校、まったくもって授業を行っている雰囲気が無く、先生の存在すら皆無である。
落書きだらけでゴミの散乱した廃墟のような校舎に、不良たちがたむろして雑談したりケンカしたりヤクを売ったりしているだけ。
みんな何をしに学校に通っているのか? そもそも登校しているのだろうか? もしかしたらこいつら、学校に住んでいるのかな。
不良版『がっこうぐらし!』みたいな世界観なのかもしれない。
そもそも高校名が「鬼邪高」だから、創立の時点でまともに教育する気が無いのは明らか。
そんな異世界然とした「鬼邪高」と敵対する「鳳仙学園」は、なんと髙橋ヒロシの不良マンガ『クローズ』や『WORST』にて描かれた世界線の不良高校である。
そう、つまりこの映画は、ハイロー世界と髙橋ヒロシ世界とのクロスオーバーなのだ。
さらに、髙橋ヒロシ自身が映画の脚本を手掛けており、不良たちのサスペンスフルな抗争劇はもちろん、友情ドラマとしても見応えがある。
2つの不良高校同士のゴタゴタの裏で暗躍する組織、主人公の幼馴染たちとの絆、そして仲間たちとの友情パワーがピンチを打破するのカタルシス。
ハイロ―のぶっとんだ世界観と融合しても何の遜色も無く、むしろ違和感も感じないほどに馴染んでいるストーリー展開は本当に見事だった。
ハイロ―、キャラ完璧すぎ
当然のように、ハイローシリーズそのものが初見なので、もう世界観とかキャラクターとかはまったく知らずに観たわけだが、なんと開始早々にすべてが理解できてしまうのが素晴らしい。
まるで水がスポンジに染み込むように、舞台となる「鬼邪高」(ホントひどい学校名)の数十人を超えるヤンキーたちのキャラと序列と派閥が俺のアタマに怒涛のごとく入り込んでくるという凄いシステム。
それは、オープニングの “これまでのあらすじ” 的ナレーションに加え、ヤンキー物にお約束の情報通キャラ「ジャム男」くんによる不自然なまでの状況説明セリフの賜物である。
はじめての人も全然ウエルカムな親切設計。
まるで『死霊のはらわた3/キャプテンスーパーマーケット』のオープニングのようだと言えばわかりやすいだろうか(誰もわかんねー)
とにかく、これだけ大勢のヤンキーがわらわらと集まっているのに、しっかりと見分けられるように髪型や服装、言動などでそれぞれのキャラを立たせているのが本当に凄い。
主人公の花岡楓士雄は、爽やかで明るく無邪気ないい奴系ヤンキーで、まさに髙橋ヒロシ漫画における典型的な強キャラの設定である。
演じるのは「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」の川村壱馬くん。
このひと、めちゃくちゃ演技が上手くてびっくりした。
そんな彼が鬼邪高全日制の不良たちを束ねようと奮闘するわけだが、ライバルキャラの真面目風メガネ男子の轟洋介(演じるのは俳優の前田公輝くん)が超クールでカッコ良くて、俺もう大好き。
さらに、この学校には全日制と定時制があり、定時制(つまり年齢的に社会人)に番長がいる。
不動の最強番長、村山良樹(演じるのは山田祐貴)がこれまた飄々としていて、かつ男気もある魅力的なキャラクターなのだ。
で、髙橋ヒロシ漫画は、強い奴同士がニュータイプみたいにわかり合って友情を育むのがセオリーなので、例によってこの鬼邪高のトップ不良連中はほとんど戦わずして絆を深めていくことになる。
そんな鬼邪高ヤンキーたちと敵対するのが、隣町(かどうかは知らんが)の不良高校「鳳仙学園」の不良たち、通称 “殺し屋軍団” である(ストレートすぎる通り名)
この鳳仙学園の不良たちは、全員スキンヘッドで幹部クラスだけは髪の毛伸ばしてOKという野球部みたいなシステム。
そこの番長で『ザ・レイド』かってくらい超強い上田佐智雄を演じるのが、なんと俳優の志尊淳くんなのだ。
『半分、青い』のボクテ役や、現在放映中のテレビドラマ『Heaven?』でのナヨナヨとした可愛い系男子の姿が印象的な志尊くんが、ナイフ持ったチンピラを素手でぶちのめすという衝撃シーンが見られるのはハイローだけ!
とにかくこの4人が惚れ惚れするくらいカッコ良く、アクションのセンスも抜群、さらに演技が超達者で、初めて観た俺なんかは感動しきりであった。
過去作も観ます
こうして、未知の世界だったハイローシリーズに踏み込んで、あっけなく心を撃ち抜かれてしまった俺。
とにかく敵も味方も全員好きになってしまうくらいキャラクターの魅力が素晴らしいので、シリーズ未見でもなんなくハマれてしまうのだ。
こうなってくると過去作も断然観たい。
今回は『WORST』とのコラボだったこともあり、髙橋ヒロシ漫画に馴染みのある俺にはとても入り込みやすかったのもあるので、これを機に、真のハイローの世界に入ろー!(ダジャレ)