ローデッド式デヴォンクラッチ

映画ファン最後の良心デヴォン山岡が映画を楽しみまくって感想を書きます。

ブッ飛びハイテンションホラー『マリグナント 狂暴な悪夢』は超王道なのに超新しい!

 

熱心なホラーファンのみなさんが口をそろえて「マリグナントやべー!」とか言ってるこの状況、マジで最高である。

 

しかも今回は、日本公開時に『死霊館』みたいなダジャレタイトルでポップな感じで宣伝されずに、ちゃんとホラー映画らしくクールな広告で周知されたのもホント良かった。

 

なんと、こんなにネタバレ厳禁でヴィジュアル出すのが難しい作品なのに、予告編を見てもどんな映画か分かりづらくなっていてマジでいい仕事してる。

 

ホラー映画やスリラー映画は、よっぽど陰惨な作品でない限り「面白おかしく」宣伝されがちで、シリアスな作品でも平気でつまらない冗談みたいなサブタイトル付けられたりするのでホント厄介。

 

その点『マリグナント』は、まさかの陰鬱でも悲惨でも真面目でもなく、テンション高すぎ、アクション多すぎ、ストーリー攻めすぎ、展開ムチャクチャすぎなブットビホラー映画なのに、なぜかめちゃくちゃクールかつ落ち着いた感じで宣伝されているのだ。

 

おかげさまで、俺の鑑賞モチベーションも下がらず、公開1周目に足取り軽く映画館に向かうことができた。

 

死霊館』シリーズ大好きなのに、「悪魔のせいなら、無罪」っていうサブタイトルがどうしても我慢できなかった俺からすると、本当にこの宣伝の冷静さはありがたい。

 

というわけで、この『マリグナント』は、『死霊館』や『ソウ』シリーズなどでホラー映画の新たな可能性を広げ、さらに『アクアマン』や『ワイルド・スピード』などの一般大作をも素晴らしいクオリティで完成させてきたジェームズ・ワン監督の最新作である。

 

これまでの華々しい活躍を経て、『死霊館 エンフィールド事件』以来の久々のホラー映画復帰作。

そして、まさにこの作品が、今のホラー映画の最先端とも言える超絶大傑作となったのである。

 

『マリグナント』前半戦の凄いとこ

 

オープニングから凄い。

 

開始早々からとんでもない勢いで突っ走るので、観客にかかるG(重力加速度)がヤバイ数値になる。

 

動き出しはスローに上へと登っていくはずのジェットコースターが、スタート直後から最高速度でぶっ飛ばすみたいな感じ。

 

予想外のスピード感に圧倒されるし、いきなり舞台が精神病院だし、しかも開始1分たらずで狂った患者が大暴れしているしで初っ端から画面がカオス。

 

開幕早々に映画も観客も大混乱というすごい状況なのだ。

 

で、オープニングは血と脳みそが大写しの手術シーンがカッコイイBGMと共に映し出されたりして、一体何が始まるのかが全然予想できない。

 

そう、この作品、もし観ていない人がいるならば、ぜひとも事前情報ゼロで観て欲しい。

 

俺はポスターだけをチェックして映画を観たので、序盤でもう「こんな映画なの!?」っていう驚きが凄かった。

 

シネコンだったら、違う作品のスクリーンに間違って入っちゃったのかも?って心配になるレベルである。

 

冒頭のチープなモンスターホラーを思わせる導入が、まるでジョエル・シルバー製作みたいなテンション感で微笑ましいわけだが、舞台は現代のとある夫婦の住む一軒家へと変わってからオカルトホラー、もしくはスラッシャーホラー的な緊張感のある物語が展開する。

 

雰囲気やテンションがガラっと変わるので、観客はさらに困惑するといった状況である。

 

精神的に不安定な女性が見えない不安感と悪夢に悩まされ、彼女とは関係ないところで「知らない誰かが死ぬ」というサスペンスは、ホラー映画にはよくある設定だとは思う。

 

しかし、あまりにも見せ方が大胆かつ予想外で、「謎」とかそういうの以前にめちゃくちゃヴィジュアル的な刺激が強い。

 

前半の時点で、もはや怖がらせる気はなく、ひたすらエンターテインメント要素満載の展開が続くのが本当に凄いのだ。

 

 

『マリグナント』後半戦の凄いとこ



後半戦になるともう、前半に出て来た謎や伏線を回収するどころかテーブルごとひっくり返すような常識ハズレの物語が描かれるのでマジで死にそうになる。

 

先述したとおりホラーにはありがちな王道設定なので、俺も一応はオチを予測するが、すべてその想像の斜め上のほうをド派手に超えていく展開が圧巻なのだ。

 

悪夢の正体=予想通り

殺人鬼の正体=予想通り

システム=予測不能

見せ方=常識ハズレ

アクション=スーパーヒーロー

オチ=ムチャクチャ

 

クライマックスの警察署のシークエンスとかマジで歴史に残るとんでもないアクションが観られるので絶対に必見だ。

 

まとめ

 

ジェームズ・ワン監督が「やりたいことを詰め込んだ」この作品は、もうホラー映画でありながらホラー映画の表現の枠を超えて、さらなる進化を遂げたと言ってもいいだろう。

 

「怖さ」と「面白さ」が同居したエンタメ性の高い作品で、ホラー映画好きにとっては奇跡のような出来になっているし、「ホラー映画の楽しさを知られる」という意味では、ホラー初心者にも持ってこいの作品でもある。

 

暴力描写はそれほどでもないのにR18指定なのがザンネンだ。これ、多感な時期の中学生とかが観たらマジで大ハマリすると思う。

 

興味のない人が一瞬で「映画好き」になること間違いなしの、超面白くて超刺激的な傑作だった。

これもう間違いなく今年ベスト確実でしょう!