ローデッド式デヴォンクラッチ

映画ファン最後の良心デヴォン山岡が映画を楽しみまくって感想を書きます。

銃撃! 爆発!カーチェイス! わろてまうほど短いエンドロール! 『アンビュランス』は世界最高峰の娯楽映画どぁ!

マイケル・ベイ作品を映画館で観ない」なんてのは映画ファンにあってはならない選択肢であり、映画館に行くことはもはや義務。

【年度末にはちゃんと確定申告しましょう】とか【バイト開始時と終了時にはちゃんとタイムカードに打刻しましょう】とか【自動車購入時にはちゃんと任意保険にも入りましょう】とかと同レベルにマイケル・ベイの映画はちゃんと映画館で鑑賞しましょう】というのがある。

俺なんかは模範的な社会人なので、国民の義務とも言えるこのキマリを律儀に守り続けている。

 

正直なところ、もし映画ファンで「マイケル・ベイに興味が無い」なんて人がいるのであれば、逆に尊敬してしまいそうである。

マイケル・ベイを無視できる神経がマジで羨ましい。

 

ストーリーや出演者を確認しなくても、ポスターに出たマイケル・ベイ監督作品」という字ズラだけで、もうほかのどんな映画よりも面白そうなので毎度困ってしまう。

普段はフットワークの鈍い初老の俺ですら、パブロフの犬さながらの条件反射で映画館に駆けこんでしまうほどの魅力がマイケル・ベイ作品にはあるのだ。

というわけで、マイケル・ベイ監督の待望の劇場公開作『アンビュランス』を鼻息荒くして鑑賞したわけだが、もう何を言っても陳腐な感想にしかならないので沈黙せざるを得ないほど衝撃的に面白かった。

 

 

銀行強盗が警察に囲まれて救急車を乗っ取って逃げるだけの話なのに、尺が137分もあって最初から最後までずっと面白いのはナニゴトだろうか?

この作品は、実は『25ミニッツ』という2005年製作のデンマーク映画のリメイクなのだが、調べたところオリジナル版の上映時間は77分しかないので、マイケル・ベイはそこをベースにプラス60分もの余計なバカ要素を詰め込んでいるということか。さすが。

 

 

キャラの濃い登場人物めっちゃいる



真面目な主人公(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世 すげー名前)が、金に困って悪党の兄弟分(ジェイク・ギレンホール)に借金しようとするが、不本意ながら巻き込まれるようなカタチで銀行強盗のメンバーになってしまうというストーリー。

もちろんこの強盗計画、決行前から「失敗する予感しない」から凄い。

今まで何十件もの銀行強盗を成功させてFBIに目を付けられているほどのプロとは思えない人選で、マジでメンバー全員バカしか勢ぞろいしてなくて笑ってしまった。

 

ムダに個性的な強盗メンバーたちに加え、もう一人の主人公である救命士のクールな美女(エイサ・ゴンサレス)や、強盗を追う警察サイドにも異様に個性の強いキャラが揃っている。

さらに、奪った金のおこぼれにあやかろうと逃亡に協力する組織なども現れて、そいつらもオモロイ連中ばかり。

さすがマンガみてえなキャラ作りに関して右に出る者がいないマイケル・ベイだ。

トランスフォーマーシリーズでも、ロボット生命体のみなさんに人間以上に魅力的なキャラクターを授けてくださったが、今回の登場人物もモブですらしっかりキャラが立っていたりして抜け目がない。

人間ドラマと呼べるような内容は描かれていないのに、登場人物になぜか愛着が湧いてしまうのはこのキャラ作りの巧さゆえである。

俺はアルマゲドンでも恥も外聞もなく泣いてしまったのだが、やはりキャラクターが超絶わかりやすくてノリとイキオイで感動してしまったという部分が大きい。

そして今回も、銃撃と爆発と破壊でシッチャカメッチャカになりながらも、ラストでしれっと泣かせにくるからほんと油断ならない。

 

 

アクションシーンのカメラアングルが狂気

 

警察に包囲されて逃げ道の無くなった主人公が咄嗟に奪った救急車、それに乗り合わせていた怪我人と美人過ぎる救命士も交えての地獄の逃避行

本気を出した警察とFBIの追跡で、LAの街がカオスワンダーランドと化す、ド派手なカーチェイスアクションを表現する縦横無尽なカメラワークこそがこの作品のイチバンの見どころだ。

おまえそれどっから撮ってんだよ! 的なアングルがバンバン飛び出して、好き勝手&自由気ままなドローンの機動力を駆使した誰も観た事のないカーアクション。

これをIMAXで観てるんだから、クルマがぶっ飛んで、爆発して、大破して、というシーンの度に「わー!!!」って大声上げそうになる。コロナ禍なのに。

 

「大迫力」などという常套句では伝わりきれないほどの阿鼻叫喚カーチェイス、あと序盤の銃撃戦もなにげに『ヒート』を思わせる臨場感で興奮モノだし、救急車内でも強盗と人質との気の抜けない心理戦が行われていてスリル満点。

ここでも「マジで今までよく成功してたな」って思うほど、リーダーのジェイク・ギレンホールが考えなしの言動を繰り出していくわけだが、もはやジェイクのブチギレ顔のアップですらスペクタクルなのであった。

 

超大作なのに超短いエンドロール

なんだろ。この映画、「自主製作映画かよ」って思うほどエンドロールが短い

2時間越えの超大作で、出演者やスタッフの数はもちろん、街中でロケまでしているから協力企業とかも多いだろうに、まさかの1分くらいでエンドロールが終わる。

カーチェイスのスピード感が、そのまま爆速エンドロールにも繋がるという人知を超えた作品であった。

昔、ハリー・ポッターの何作目かを観に行ったときに、映画の内容がぜんぜん面白くなくて早く帰りたいのに、エンドロールが10分以上あって(もちろん体感で)マジでしんどかったのを一生覚えている(というか根に持っている)。

それ以来、映画のエンドロールなんかクソ無視して帰るようになったし、たまに「エンドロールまでちゃんと観るのが鑑賞マナーだ」とか抜かすバカを見るとマジでイラっとする。

そんな俺たち純粋無垢なホンモノの映画ファンのために、神様・仏様・マイケルベイ様は、しっかりとエンドロールを早送りしてくれる。ファストエンドロール万歳!

このような紳士的な配慮も含めて、やっぱり『アンビュランス』は今世紀最大のエンターテインメントであることに反論の余地は無いであろう。

 

よって、今年ダントツナンバーワン決定!